▼現職勝利の名古屋市長選に若干げんなりさせられるのは、不正にまみれた愛知県知事リコール運動を支援した責任問題が今後も問われるという解説が多いからだ。知事と市長との確執が修復しそうにない。経済、人権で真っ向対立する米国と中国が地球環境では協調する油断も隙もないしたたかな政治力が少しうらやましくなる
▼県独自の緊急警戒宣言発令に続き「まん延防止等重点措置」の適用要請など、激増する新型コロナウイルス感染者を前に、県は矢継ぎ早に対策を急いだが、東海3県のテレビ知事会議に、当たり前のように当選2日目の名古屋市長は参加しなかった
▼対立候補にあおられたとはいえ、コロナ対策で「一人最大2万円分のポイント還元」という毛色の変わった公約を打ち出している。愛知県との対応の違いはこれまでも目立った。「東海エリア一帯で感染拡大防止に取り組んでいくことに資する」という鈴木英敬知事の東海3県の共同歩調に、名古屋市長を外したままで狙い通りの効果があげられるのだろうか
▼「東海エリア一帯」で取り組むというのは広域での防止策が重要ということだろうが、奈良、和歌山、滋賀の近隣3県との知事会談がないのもどうしたわけか。県観光局の職員が感染した。県は感染経路が分からないにもかかわらず「庁内では感染防止対策を徹底しているため、感染拡大の可能性は低い」
▼庁内で感染したのではないということか。庁外の感染対策は徹底していなかったということか。ウイルスの感染力は人間の対策を超える。人間の都合が優先されるべきではあるまい。