伊勢新聞

2021年4月19日(月)

▼このところ「アドバイザリーボード」という言葉を耳にする。厚生労働省の新型コロナウイルス対策の「専門家組織」で、関西圏の拡大に伴い重症者の病床や医療従事者の確保を提唱していた。県も「アドバイザリーボード」という組織があったなとふと脳裏をかすめた

▼正式名称が「『みえ産業振興戦略』アドバイザリーボード」。国際および国内雇用経済情勢を踏まえた戦略の方向を模索し、行動計画の検討などを進めるとされ平成24年に発足したが、昨年3月がホームページに記された開催の最後で、鈴木英敬知事は欠席。令和2年度は不明。その前年設置した経営戦略会議と違い、議事概要もない

▼発足当時は西田厚聰元社長が県産業支援センター会長はじめ経営戦略会議、アドバイザリーボード委員に矢継ぎ早に就任したので注目されたが、東芝不正会計処理事件発覚で歴代3社長が東芝を引責辞任したのとともに、県の3要職も辞任した。米原発子会社の巨額損失、四日市工場が拠点の東芝メモリ(現キオクシア)売却問題の混迷、上場廃止など、その後の東芝は凋落の一途で、ようやく上場復帰を果たした途端、英投資会社からの買収提案が起こり、社長が事実上の解任をされた

▼不正会計問題発覚は西田氏と次期社長との辺りをはばからぬ確執がきっかけとされる。日産がゴーン社長(当時)を告発したのは、ルノー・フランス政府の支配力強化が嫌われたためという。東芝の今回のお家騒動は英投資会社の提案への懸念が背景

▼追い出される側に問題はあったが、それだけで騒動が起きたわけではない。