伊勢新聞

2021年4月18日(日)

▼「交通安全運動期間中でなくても、普段から事故に遭わない、起こさないことを心掛けてほしい」と県警交通企画課の次長。春の交安期間(6―15日)中の死亡事故が7年ぶりでゼロで、何となく鼻息が荒い

▼県道の横断歩道を渡っていた桑名市の90歳の女性がはねられて死亡したのは3日の夕方。運動期間からは外れている。11日には明和町の県道で軽乗用車に追突した乗用車の49歳の女性が、逃げる途中に別の車に衝突してまた逃げたとして逮捕され「記憶がない」という。死亡事故ゼロが危うい構図で成り立っている

▼昨年の交通事故死者数は73人で前年比2人減。2年連続前年を下回り過去最少だったが、10万人当たりの死者数では4・10人で全国ワースト4位。前年の7位から下げた。全国的には減少の歩みは遅いが、今年に入ってからの前年同日比は15日現在で14人減。減少幅は大きい。コロナ禍で、他県との往来を含めて、車の通行量そのものが減っているのかもしれない

▼信号機のない横断歩道手前の一時停止率が日本自動車連盟(JAF)調べで3・4%の全国ワースト1だったのは一昨年。その前はワースト3とはいえ停止率自体は1・4%。昨年は27・1%と改善されたが、7割は止まっていない。桑名市の事故がたまたまとは言えないことを思い知らされる

▼道路の白線標識も改善されたという実感はない。晴天より雨天、国道よりは県道、市道、町道、脇道が頼りになるが、そこまでの改修はまだまだ先なのかもしれない。事故を起こさせない仕組みづくりを当局には願いたい。