▼鈴木英敬知事は14日のぶら下がり会見で新型コロナウイルスの厳しい感染状況を指摘し「改善がみられなければ、緊急警戒宣言などで強い措置をお願いせざるを得ないと考えている」。似たフレーズを何度聞かされたことか
▼結果的に改善が見られず「強い措置」へ追い込まれてきた。「強い措置」の正体も従来不明だった。何が飛び出すか。そんな気持ちが3密への抑止効果にもなってきた。今回は「緊急警戒宣言など」であり、「まん延防止等重点措置」は「今はその段階ではない」。せいぜいが3度目の緊急警戒宣言というのでは、緊張感が薄れはしないか
▼これまでも「まだそこまでではない」「第3波の一歩手前」などの見方が何度も示された。今回は、大阪府が新規感染者が1000人を超え、愛知県が「まん延措置」申請を決めたことと軌を一にしている。感染拡大防止に広域で歩調を合わせることは不可欠だが、手詰まり感はある。変異株対策が打ち出せていないのもその例だろう
▼変異株の初確認で、知事は「従来通り対策を徹底してほしい」「過剰な不安は抱かず、犯人捜しのようなことは絶対に避けて」というだけだった。新規感染者が1ケタ台で、病床使用率が20%を切っていたが、その日を境にリバウンドに転じた。変異株が急増している
▼知人の父の17回忌が先日あった。地域の寺での合同法要が慣例だったが、今回は家族単位。食事も4人以上は中止になった。一人一人のこうした日常的対応が感染増を防ぐ。変異株の感染力は数倍するという。効果的対策を早期に知らせていかねばなるまい。