2021年4月16日(金)

▼鈴木英敬知事が1月6日の今年初の記者会見で「年頭に申し上げたい一言が七点」として真っ先に挙げたのが新型コロナウイルス対策で、二点目が「豚熱、あるいは近隣県はじめ全国で感染拡大が続いている鳥インフルエンザ」。「感染拡大防止、次なる感染を生まないように全力を尽くしていく」

▼前年12月29日に伊賀市の養豚場で豚熱(CSF)が確認され、全頭殺処分の作業中。ウイルスの脅威が知事の脳裏に刻まれていたのだろうが、全力むなしく4カ月で津市の養豚場で発生した。過去最大の1万頭が殺処分される

▼「殺処分の膨大さや経営の打撃を考えると歯がゆい」と知事。県初の養豚場での発生が一段落した一昨年10月、県は国にワクチン接種を前提に全頭殺処分の見直しを求めた。接種と接種していない時では、指針も違っていいというのが県の言い分で、国はワクチンが絶対と言い切れないから方針を変えないと言い張る

▼「(検査結果で分かることもあるはずで)残念。改めて国に要望したい」という知事の歯がゆさは養豚業者の思いであろうが、野生イノシシの経口ワクチン投与が進んでいるはずなのに感染数は増えている

▼県は昨年「4月は繁殖期で接触機会が多い」とし、生後50日未満の子豚が感染した年末の伊賀市について「母からの免疫が切れた直後に死んだ可能性が高い」。本当か。津市も生後40―70日の離乳豚だが、免疫説ではなく、イノシシから小動物を介しての感染という

▼異種動物間をウイルスは超えたということか。新型コロナ変異株急増といい、不気味さが増す。