伊勢新聞

2021年3月13日(土)

▼生徒にわいせつな行為をした三重県立高教諭などの懲戒処分を発表して県教委の木平芳定教育長は「公教育に対する県民の信頼を損なった。極めて重大な状況」。「またまた」という言葉が透けて見える気がしたが、教育長もバツが悪くなったか。「今後の方針」を申し訳程度変えてきた

▼これまでハンコを押したように「校長会議等あらゆる機会を捉え、服務規律の確保について徹底してまいります」と言っていたが、今後は県教委に「コンプライアンス推進委員会」を設けて再発防止策を検討し、各県立学校には「学校信頼向上委員会」を設置して生徒との関わり方などを議論させるという。教職員のセクハラについてアンケートもするらしい

▼今回の懲戒処分もセクハラと体罰、交通事故の教職員懲戒御三家が並んだ。一昨年に懲戒処分を厳罰化し、世も〝三悪追放〟の機運だが、教職員に一向効き目があるようでないのは、相手が絶対的支配下にある生徒だからだろう。「先生、その言動はセクハラです」とその場で言えないし、中でも言えそうにない生徒を標的にしているフシもある。県教委が対策に力を入れる教職員相手のセクハラはほとんどないのではないか

▼県教委は「生徒側からの強い要望」を錦の御旗に、今回も詳細な経緯や学校名の公表を避けた。生徒側がなぜそんな要望をするのか。「公になると、お嬢さんの将来に関わります」という学校側のささやきはよく聞く

▼被害生徒が後難を恐れ事実の経緯を世に知らせられない。正義の実行に口をつぐむ。学校がそんな世界であることを教育長はどう思うか。