伊勢新聞

2021年3月10日(水)

▼公職選挙法改正で結婚祝いや香典が本人の列席以外禁止されることが決まった時、衆院議長を務めた旧2区選出の田村元議員が「人としての付き合いもできんようになった」と嘆いた

▼昭和61年の衆院議員選挙で、各候補者の事務所への陣中見舞いをすることにした県議会議長が事前に県選管に公職選挙法上の問題はないか問い合わせた。「訪問自体は結構だが、酒類など物品の持参はご遠慮ください」という回答だったと苦笑いしていた

▼公選法を所管する総務省出身の政治家である津市の前葉泰幸市長が、市役所で専横的振る舞いがあったとされる自治会長が関係するスナックの女性経営者にバレンタインデーの返礼品を贈ったことに「社会的儀礼の答礼として、菓子を届けた。チョコレートを受け取るべきではなかったし、菓子を返すべきではなかったと反省している」

▼何とも厳正さを欠いたコメントではないか。さすが総務省出身という気にもなるが、津市では議長が昨年、当の自治会長に就任祝いの返礼について議員に相談し、現金持参の助言で口論になったとか、職員が女性経営者から現金を贈られたなどが議会百条委で問題になっている。その議会、職員がいて、この市長ありとは言えないか

▼総務部長時代から深く関与していたとされる盆野明弘副市長の「当時はそこまで思いが及ばなかった」。職員が女性の店で働かされていることに対しては「昔は若い人が率先して店を手伝った思い出がオーバーラップした」

▼同市で現職総務部長が逮捕されてから四半世紀以上。構造は変わっていないようだ。