▼鈴鹿市が新型コロナウイルス対策として1月25日から在宅勤務を試行した。庁内のパソコンやインターネットを使用できないため仕事が制限され、12月議会で認められた補正予算で購入する在宅用ノートパソコンの入荷待ちという
▼申し分のないどろぼう捕らえて縄をなう状態で、約1カ月経過し、「5月から始めた時差出勤制度と合わせて5割くらいいければ」と期待した取得率は時差出勤で1割、在宅勤務は3・5%だそうだ。担当の人事課の課長が「試行後、改めて全体的な状況や傾向を検証していく」
▼「改めて」という言葉が決まり悪くなるような気がする。もともと県の緊急警戒宣言をきっかけに始めて、7日で終える予定が宣言延長で3月7日まで延ばした。計画性のあった話でもないのだろう。「市役所は市民との対話の場所でもあり、闇雲に取得率を上げればいいというわけではないが、柔軟に対応できるよう環境整備は進めていく」
▼在宅勤務以前の「働き方改革」までさかのぼって整備しなければなるまい。試行が正規職員を対象にしたことも特に意味があってのことではないのだろう。在宅勤務すなわちテレワークが正規労働者だけで非正規を対象外にし、差別的取り扱いが多いことが先進事例で問題になっている。「状況」「傾向」「検証」をまとめるにはあまりにお粗末な試行ではあるようだ
▼「対面でしか難しい仕事。扱う書類は個人情報の塊なので在宅勤務は不可能」と言い切るのは戸籍住民課長。「柔軟に対応できるよう環境整備」というスタート台への道のりはまだまだ遠そうだ。