伊勢新聞

大観小観 2021年3月1日(月)

▼三重大学病院のカルテ改ざん事件で、診療報酬を不正受給させたとして、津地検が元教授を詐欺罪で起訴した。医療機器を巡る第三者供賄罪ですでに2回の起訴。3回目だ。一連の事件で逮捕、起訴が繰り返されるのは捜査当局の常とう手段だが、共謀したとされる元准教授の方は公電磁的記録不正作出罪など。頭がくらくらしてくる

▼元教授は使用していない不整脈剤を投与したと偽って診療報酬の不正請求を元准教授に指示したとされるか、大学の第三者委員会では、その不整脈剤について「廃棄されていたとは知らなかった」。県庁の巨額公金横領事件でもあるカラ出張事件で、首脳の一人が「あんな仕組みでやっていたとは知らなかった」と言っていたのを思い出す

▼県の裏金づくりのもう一つの方法だった架空工事事件では、告発した県議と交渉した当事者である。カラ出張の存在は承知していただけに、発言を伝え聞いた総務畑の幹部が「ええっ」と絶句していた。架空工事事件で現場職員の逮捕が続いた時「危なそうなことは見て見ぬ振りして近づかない。それが出世する有能な職員さ」と、現場上がりの幹部が話していたことに思い当たった

▼津市の自治会長が補助金詐取容疑で逮捕された事件で、前葉泰幸市長が「市役所がだまされて市民に申し訳ない」などというコメントを出した。「市長は散々見て見ぬふりを続けながら被害者面にあきれた」と複数の職員。「職員の処分が幹部より重いのは納得できない」の声も。真相解明へ県警への期待が大きいとも

▼果たされず終わってきた事例の数々も、思う。