2021年2月26日(金)

▼津市の補助金13万円をだまし取ったとして、津署は同市の自治会長と塗装業者を逮捕した。告訴して20日目。容疑は4年も前の掲示板設置事業だが、偽の領収書を使って指定口座に振り込ませたという単純な手口であり、市が調査済みでもあったからか、迅速な対応である

▼補助金不正支出では、随意契約にできる金額に押さえるため1件の塗装修繕工事を2件のように装って分離発注した疑惑も議会の調査特別委員会(百条委員会)で浮上している。逮捕容疑の掲示板も、頼まれて自分が修理したという職員がいる

▼手口が単純であればあるほど、窓口の職員の目を欺くことが困難なことは、補助金を申請した経験者なら誰もが知っているが、支給側にすればいくらでも手はあるのかもしれない

▼なにしろ、掲示板を修理した職員が「自治会長が(別に)補助金を申請していたことを知らなかった」とか、塗装修繕工事で、担当理事が「分割発注を指示していないし、詳細は分からない」というのに、実務処理は滞りなく済んでいた。複数の事業で同一の受給者が成し遂げられることではない

▼津署は両容疑者の認否を明らかにしていない。捜査の都合ではあろうが、どうして不可能を可能にしたか。納得できる認否を2人からでは引き出せないのかもしれない。前桑員河川漁協組合長の恐喝未遂事件では、県や桑名市が関与し、開発業者に犠牲を強いていたとされるが、誰も罪に問われず、責任も問われなかった

▼補助金詐欺事件ではどうか。真相解明へのお膳立てはこれ以上は望めないほど整備されている気がする。