2021年2月24日(水)

▼放送関連会社に勤める菅義偉首相の長男が総務省幹部を繰り返し接待していた問題を全国紙コラムが「近年めったに聞かぬみごとな癒着ぶりにあぜんとさせられる」と書いていた

▼「森友」「加計」「桜」に続き「またか」の思いをしていたから「あぜんとさせられた」ということにあぜんとしたが、「モリ・カケ」は権力者に対する官僚の「そんたく」で、民間企業との癒着は「近年めったに聞かぬ」ということかもしれない

▼両者にどの程度違いがあるか分からぬし、文春砲がさく裂するのが分かる気もするが、日の下に新しきものなし(旧約聖書・コルへトの言葉)である。首相が総務相だったとき政策秘書だった長男を放送関連会社が迎い入れた狙いは天下り問題とどう違うか。首相が「総務省とは距離を置いて付き合うように」をはなむけの言葉にしたというのはすべて承知の上でということだろう

▼県が巨額のカラ出張に突っ走った時代を思い出す。歯止めが利かなくなったのは中曽根内閣の民活導入方針で、官官接待に拍車がかかった。行政と企業の一体はそれ以前の四日市公害で見て取れる。企業との距離を置いた田川県政に対し、北川県政はRDF爆発事件やフェロシルト事件を起こした

▼石原産業に対し、当初「時代背景が違う」と擁護していた野呂昭彦知事(当時)は県の数十回の立ち入り検査でも有毒の塩化カルボニル(ホスゲン)製造を隠ぺいしていたことが明らかになり「企業倫理のかけらもなく」と非難するに至った

▼企業との距離について「悪しき平等」を掲げる鈴木県政に危うさを感じる。すでに現実になりつつあるようでもある。