▼三重大病院の薬剤発注を巡る贈収賄事件で、企業が正規の手続きで支出した奨学寄付金が津地検に賄賂と認定され、製薬業界に困惑が広がっているという。営業活動の〝武器〟がなくなることに頭を抱えているらしい
▼薬品を介しての病院と製薬会社の癒着はよく知られている。様々な規制がされたが、教育目的に提供する寄付金が賄賂になっていた。手を変え品を変え、よりもっともらしく装いながら不正の温床は温存されてきた。日本の医療市場が製薬業界の資金を軸に回っている構造で、国の交付金がどんどん削減されていく。製薬業界との資金パイプを遮断することは、医療界の窒息を招きかねないが、麻酔部だけのことではあるまい
▼詐欺から贈収賄へ、三重大医学部の中で、臨床麻酔部ばかりが袋だたきにあっている感がある。今度は「並列麻酔」の横行が表面化し、手術中に死亡者が出た3年半前の事故もこの時期明らかになった。報道機関から公文書開示請求され、閉鎖体質で知られる三重大も発表せざるを得なくなったらしい。告発者とみられる元同大医師がテレビで暴露していた
▼麻酔部の医師18人中、12人が退職したのは事件と関係あるのかどうか。麻酔部単独というより三重大の「ガバナンスの強化、再点検を」(鈴木英敬知事)の問題に見える。「対象年度外だが重大な問題」と異例の意見を出したのは包括外部監査人。県の静観に疑問を持ったとも思えるが、知事は「逃げてる感じに捉えられると、ちょっと困ります」と及び腰
▼三重大のガバナンスの問題だからと言っているようでもある。