▼三重大病院の薬剤発注を巡る贈収賄事件で、津地検は、製薬会社が目標値を同大元教授に示して自社薬剤の使用を働き掛けたと見て調べることが、関係者の取材で分かった。同社が「予防投与」を推奨していない薬剤にもかかわらず実施を求め、元教授らは購入したものの廃棄して予防投与はしなかったらしい
▼医療機器調達をめぐる汚職事件で逮捕された元教授が第三者供賄罪、すなわち特定の職務を怠ったり、推進するよう依頼を受けて、見返りに第三者へ贈賄を求めたとする津地検の再逮捕理由を補強する内容だ。その再逮捕も、前日に関係者への取材で明らかになったと報じられている
▼愛知、三重両県警が逮捕した医療機器調達事件でも、寄付金の半分以上が同僚らとの飲食費に充てられていたのが分かったのは発表ではなく「捜査関係者」への取材でだった。同僚、同業者の努力に頭が下がるが、関係者の活躍にも感嘆させられる。同時に捜査当局の上機嫌な顔が浮かんでくる気がした。寄付金が麻酔部の運営や研究に欠かせない業務にだけ使われていたとしたら、少し困ったかもしれない
▼核心に迫る犯行内容が関係者の協力で次々判明してくる。不思議なのは、容疑者の諾否が一向に明らかにならないことだ。「捜査の都合」なのだろうが、門外漢にはなぜか分からない
▼津地検の森本宏検事正は就任会見で「事案の真相を解明し、適切な刑罰権を行使するのが検察の使命」。寄付金を求めたのは飲食したいためか、部の運営、研究のためか大いに知りたいのだが、検察の解明する「真相」に入るのかどうか。