伊勢新聞

2021年1月29日(金)

▼「引き続き厳しく、最大限の警戒が必要」と言う一方で「クラスター(感染者集団)が多く、新規の例は減っている」。そのクラスターが相次ぎ、特に医療機関で目立つことについて、強い危機感を示し「端緒があれば広く検査し、早く止めに行くよう特に徹底している」

▼時、すでに遅しということか。クラスター増、新規減というのもやや意味不明なのを別にして、なぜこんなことを言わなければならないか、首をかしげる。感染阻止と経済回復のはざまで鈴木英敬知事の言動にちぐはぐさがあるのはやむを得ないが、振幅が大きくなってきた気がする

▼緊急警戒宣言から2週間直前のぶら下がり会見の知事発言である。「新規」とは「県外由来や飲食による感染」に特化している節もあり、それらが「圧倒的に減っている」として「緊急警戒宣言の効果を注視する必要がある」と続けた。「宣言効果」はそんな「新規」を「注視せよ」と言いたいのかも知れない

▼宣言の延長は「結果として」国のまねに見えても、県の感染状況を踏まえて(独自に)判断するのだという。予防線のようだが、自分の判断がどう受け止められるかが気になっているようでもある

▼気になるのはコロナ禍が厳しくなるにつれ「新しい生活」への言及がなくなっていることだ。解雇や会食禁止、自宅待機、オンライン勤務などでストレスの高まっていることはその影響とともに各方面で指摘されている

▼国は店名公表だ、罰則だとさらにストレスを強める構えだ。コロナ禍をどう生きるか、心のケアは付け焼き刃の気休めを言うだけでもない。