伊勢新聞

2021年1月27日(水)

▼民家に侵入し、現金を盗んだとして、伊勢市立小学校の28歳の臨時講師が起訴された。今年も教育関係者の不祥事多発を予感させる。20日には大麻所持で津市立小の非常勤講師が逮捕された。家族が新型コロナウイルスの検査を受けた県立高生への教諭の差別的発言の処理を巡る家族の不信で、県教委は弁護士の調査という独自の手法での再調査を決めた

▼早くも県教育界の問題が総登場した感がある。まだまだ底知れずかな。「児童生徒の範となる職員なのにあってはならぬこと」と臨時講師の事件で県教委教職員課長が陳謝した。1年間任期の臨時講師に採用され5年目。「本採用に有利」と言われて応募するのが一般的だが現実は難しく、働き方改革の対象でもない

▼最低7年は異動なしの正規教諭の職場で、臨時講師は3カ所目の赴任先で事件を起こした。「範となる」モチベーションがすり切れる時間としては短くもない。教職員課長の会見は二重構造で成り立つ教育現場についての発言はなく、教育長の定例会見では事件そのものも触れられなかった

▼教諭の差別的発言を巡っては「お前が来たでマスクするわ」と教諭が言ったという県教委の発表に対し、「危ないで」が抜けていたと生徒側が反発し、県教委は事実関係の再調査はしないとしてきたが、鈴木英敬知事の指示で姿勢を改めた

▼「第三者として調査」としながらも木平芳定県教育長は「(第三者)委員会の形ではない」。法が定める学校と県の第三者委員会に加え新たな仕組みを導入するらしい。知事の隠ぺい体質との示唆はとっぴでもない。