伊勢新聞

2021年1月26日(火)

▼残土条例制定問題で、鈴木英敬知事を「すごい」と言ったのは、残土問題に苦しめられた地元尾鷲市・北牟婁郡選出の津村衛県議である。議会で請願が可決されても県当局は「法律で対応できるため、直ちに制定する必要はない」拒否。知事も、そう答弁してきた経緯があるため変えるにはそれなりの説明が必要と言っていた

▼尾鷲市長と知事との一対一対談で現地を視察すると考えは一変。法や許認可権の不十分さを指摘。県当局も同調の声をあげ始め、一気に制定へ。確かに「すごい」

▼正攻法で県に救いを求めても百年河清をまつに似たりだが、知事にウンと言わせれば状況はがらりと変わるということである。ウンと言えば条例になり、ウウンと言えば削除されるのを、私たちは最近パートナーシップ制度導入を巡って目の当たりにした。その点、県警が新年度予算に要求する科学捜査研究所新築は手際がよかった

▼県警への理解者が多い議会が窮状を〝代弁〟したのが昨年12月。この1月の知事予算査定で手狭を訴えると、コロナ禍の財政危機の中、得たりや応と知事は伝家の宝刀〝視察〟の鯉口を切り、翌日実施した。白線敷設要求に対し「意味が分からない」と突き放したころに比べると、警察行政への理解は格段に深化した

▼テレビの「科捜研の女」の人気で全国の科捜研に応募者が殺到しているという。映像解析やDNA鑑定などの科学捜査の必要性が高まるという本部長の説明は、テレビファンの一人としてよく分かる。県警にも科捜研があり、活躍していることを知ったのは最近である不明を恥じる。