▼衆院の解散時期を問われて、鈴木英敬知事がオリンピック・パラリンピック後ではないかと言ったのは、本紙の1日付け、社長との対談だった。冒頭解散説を明確に否定したことになる。22日の本紙政経懇話会新春特別例会で三重とこわか国体・とこわか大会について、知事は開催へ変わらぬ強い決意をみせながらも「東京オリンピックが開催できる大前提の下」と語った
▼仮定の話とはいえ開催に条件を付けたのは初めてではないか。相次ぐ本紙へのリップサービスだとすると感謝以外ない。なのにこんなことを言っては恐縮だが、東京五輪に再度の延期はなく、開催できなければ中止と言われる。政界に激震が走るのは確実だが、そうなったら国体どころではないと言っているようでもある
▼五輪は国内の感染状況次第でもあるが、基本は世界の状況だろう。政界激震が国体とどう関連するか。解散と五輪、五輪と国体とを結びつける。とっぴな連想ではないが、知事の立場でこの時期に〝センシティブな話〟をあえてか思わずか、連発する知事の思考回路をちょっと類推したくなる
▼五輪問題では、河野太郎行革相が不安視する発言をロイター通信にして波紋を広げた。「さまざまな対応策を考えておくのは当たり前」と釈明し「一部だけ切り取って、曲解して流すのはメディアの矜持が問われる」
▼言葉を仕事のツールとする以上、お互い曲解されぬ話し方、伝え方は必要だが、メディアは失言やニュアンスから本音を感知する職業でもある。メディアの矜持ということなら、こちらはロイターには遠く及ぶまい。