伊勢新聞

2021年1月23日(土)

▼県が19日に検査を受けて新型コロナウイルスの感染が判明した3人について、変異種かどうかの確認を国立感染症研究所に依頼した。18日に静岡県で三人の変異種感染が発表されているが、県の3人は静岡県から帰省した友人と飲食しており「時期などを踏まえ変異種の可能性はないと考えているが、万が一を想定して確認を依頼した」と県は説明している

▼県内で海外帰国者2人の感染が確認された第一波の時は鈴木英敬知事はただちに海外渡航自粛を呼びかけた。静岡県での変異種発見は県独自の緊急警戒宣言発令から4日目だが、音なしの構えだった。県境を越える移動自粛は宣言の範囲内でもあろうが、一方で〝万が一〟を想定して静岡県関係者との接触者を特筆して確認する。ちぐはぐな対応ではないか

▼静岡の感染者は経路不明で、変異種の水際対策は失敗して国内に広がっていることが想定される。ウイルスが〝万が一〟など人間の思惑、事情などお構いなしに、それも環境の一環と捉えて生き残りの感染戦略を展開するのが遺伝子の変異といわれる。国の緊急事態宣言地域を警戒しがちな県民の関心を補強する意味でも、注意喚起を急ぐ必要があった気がする

▼伊賀市でクラスター(感染者集団)が発生した会社名が、会社側の同意を得て公表できることになったという。鈴鹿市では、JA厚生連傘下の鈴鹿中央総合病院で、鈴鹿厚生病院に続いてクラスター(感染者集団)が発生。「少なくとも34人。今後増える恐れ」という。こちらは判明と同時に公表されたのか。県民の県に対する不安は募る。