2021年1月13日(水)

▼度会町が町内小中学校の児童生徒全員に1人1台ずつ、タブレット型コンピューター「iPad」を貸与した。情報通信技術(ICT)教育充実を図る国の「GIGAスクール構想」の一環。一昨年12月に発表され、すぐに補正予算化された構想がいよいよ県内にも浸透してきた

▼むろん新型コロナウイルス拡大に伴うICT教育への後押しがあったのだろう。「GIGA」とはグローバル・アンド・イノベーション・ゲートウエイ・フォー・オール」の頭文字をつないだ造語。データ容量を表す「ギガバイト」に結びつけただじゃれみたいな名称だという酷評もあったが、文部科学省が長年訴えて一向に進まなかった学校への情報端末整備が補正予算などという形で財源が確保されたのは経済産業省と無縁ではない

▼経産省が「令和の教育改革」として「未来教室ビジョン」を掲げたのはGIGA構想前の6月。三本柱の一つが「学びのSTEAM化」でこちらはサイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、アート、マセマティクスの頭文字。ついでに言えばビジョンを打ち出した「『未来の教室』とEdTech研究会」はエデュケーションとテクノロジーの掛け合わせ

▼経済用語が教育界に入り込んできたというのは前川喜平・前文科事務次官。産業育成が経産省の視点で「そうでなければこの役所が政策課題にするはずがない」。公教育の市場化である。度会町では専門知識を持つGIGAスクールサポーターが授業をサポートする

▼どちらがサポーターか。専門知識のない教師に戸惑いは強いと前川氏は言う。