伊勢新聞

2021年1月6日(水)

▼県がリニア中央新幹線の県内駅を亀山市に誘致すると発表したというのに、肝心の鈴木英敬知事のコメントが何となく歯切れが悪い―「亀山市以外から手が挙がっていないという意味で、かなり方向性がついたと思っている」

▼県などでつくる建設促進県期成同盟会として来年中にもJR東海に要望するというから、まだ山あり、谷ありなのか。としても、県の候補地を決めた以上、「仏に会ったら、仏を殺せ」的決意をみなぎらせもいい局面ではないのか

▼リニア問題は、複数の期成同盟会が時折開催されるが、その進捗を巡っては明確な形で表れてこない。その中で西では京都府が同府ルートに名乗りを挙げ、東では静岡県が工事に伴う水源枯渇の問題を掲げて安易な着工に異を唱えている。終着駅の大阪府の計画も未定

▼県内駅は亀山市が早くから有力視されてきた。一時は伊賀地域が誘致に乗り出したが、後退した格好。にもかかわらず、川勝平太静岡県知事が全国知事会での鈴木知事との雑談の話として「三重県は亀山市を想定」と語ったのに対し、鈴木知事が「センシティブな問題を軽々に」などと猛反発した

▼同県に抗議し、発言も否定して川勝知事から「うそつき」呼ばわりされた。「言った」「言わない」の真偽はともかく、なぜそこまで反発したのかが分からなかった。JR東海と争う静岡県に対し「誠実な対応」を求めるなど自身はあまりセンシティブに対応しているようでもない

▼7月の期成同盟会で、知事は「早く駅位置を決めることが早期開業につながる」と述べた。ジリジリする時間が流れる。