▼毎年猛威を振るってきたインフルエンザの時はあまり気にしなかったウイルスの制御の難しさを新型コロナは思い知らせ、昨年末の養豚場での豚熱(CSF)発生が追い打ちをかけた
▼新型コロナの脅威が増す陰で豚熱も拡大を続けていた。一昨年6月―昨年2月まで、県内の感染イノシシは1カ月10頭以内で推移していたのが、4月には43頭に跳ね上がり、12月7日までに261頭。北勢が中心だった感染確認地域は3月に伊賀市で確認。松阪市にまで南下した
▼伊賀市での発生で県は経口ワクチンの散布地域を伊賀、名張、津3市へ拡大したが、4月はコロナ禍で「3密」回避が優先され、散布場所を決める4月の会合が開けず、散布できなかった。「そのせいで4月の陽性個体が増えたとは考えづらい」と県CSF対策プロジェクトチーム
▼繁殖期に伴う雄の活動、個体同士の接触が原因と見る。全頭ワクチン接種している養豚場で感染死した20頭は生後50日未満の子豚で「母からの免疫が切れた直後に死んだ可能性が高い」。当たるも八卦以上の確率は否定しないが、当たらぬも八卦程度の眉唾ものという気がしなくもない。人間の予測を超えて忍び込んでくることを見せつけたことは間違いない
▼年末年始の6日間にわたった豚の殺処分が完了した。豚舎の消毒など防疫措置は9日にも完了する見通し。農場はこれから本格的試練を迎えることになるのだろう
▼責任を回避する推測はすぐ口にするが、県はその後感染経路や原因に触れない。豚熱では養豚業者を、新型コロナでは県民を不安にさせる。