伊勢新聞

2020年12月24日(木)

▼夜間中学のニーズを調査し「学び直しの方法にも多様なニーズがあることが分かった」と県教委。これしきのことでも調査しなければ分からなかったのかという気はする

▼国や県議会から夜間中学の必要性を指摘されて昨年調査したが回答が65人。学習方法も設問に加えた今回は約6倍の387人。設問の工夫ではまだまだ増えたということだろう。設問の拙さというより、県教委の夜間中学へのスタンスが分かるような2年間である

▼県が生涯学習基盤整備事業検討委員会を設置したのは平成元年。生涯学習センターも開設され、すべての県民がいつでも、どこでも、だれでもが「学び」を通して生きる「生涯学習社会」の実現を目ざし、学習方法として自発的、自分なり、学びたい時に―が掲げられたものの、生涯学習は義務教育、高等教育、社会教育、自己学習などと階層的に捉えられて、学び直しはこぼれ落ちた

▼そのニーズに県教委は気づかなかったか。平成18年に夜間定時制の四日市北高校と通信制の四日市高校通信制が統合して北星高校が開校し、不登校生徒の受け入れを表明し、単位制を導入すると、それまでの定員割れから一転して応募者が殺到した。その人気ぶりから不登校生受け入れは後退気味だから、学び直しへの関心は高まらなかったのかもしれない

▼県内の特別支援学校にも生徒は増加している。発達障害など障害の多様化や個別のニーズへの対応が原因とされ、外国人の増加も一因と考えられている。学校教育の限界が言われて久しいが、見ようとしなければ何も見えないに違いない。