三重県鈴鹿市は、国がアフターコロナを見据えて取り組む「誘客多角化等のための滞在コンテンツ造成」実証事業(第2次)に11月10日付で採択された。「リアル&バーチャルで駆ける!『モータースポーツの聖地・鈴鹿』の魅力体感実証事業~レース頼みの誘客からの脱却とコロナに強い車利用による通年誘客コンテンツ造成へ~」をテーマに、県外のモータースポーツファンを対象にした1泊2日のモニターツアーを実施。ツアー参加者のデータを分析し、アフターコロナに向けた新たな視点の観光スタイルを提案していく。
市産業振興部地域資源活用課観光・モータースポーツ振興グループの後藤幹雄グループリーダーは「コロナの影響で八耐もF1も中止になった。レースがないから誘客できないではなく、レースがなくても『モータースポーツのまち鈴鹿』を楽しんでもらうことで、いつでも鈴鹿に行きたいと思ってもらえるプランを構築したい」と話す。
1次2次含め、県内では「デジタルで感じよう!!非接触型で日本の精神文化と伊勢文化に触れる事業」(伊勢まちづくり株式会社)など8市町の12事業が採択されたが、自治体が実施主体として取り組むのは鈴鹿市のみ。事業費は624万円。
モニターツアーは来年2月ごろの実施を予定。現在、コロナ対策のマニュアルを国に提出中で、受理されれば1月ごろに、モータースポーツ専門誌などで告知し、旅行会社を通じて販売する計画という。募集は20人程度の見込みで、自家用車での参加が条件となる。
具体的には、1日目に鈴鹿サーキットの協力を得て、同サーキット国際レーシングコースをマイカーで走行する体験や、ピット内やコントロールタワーなどレースの裏側を見学。レース観戦だけではない、レースの魅力を体感することができる。
2日目は、モータースポーツを支える「聖地」としての市の魅力を知ってもらうために、市内の飲食店や観光スポットなどを巡る。
行き先は、F1日本グランプリの歴代勝者の名前と平成27年からの表彰台獲得選手の手形を刻んだ近鉄白子駅前のモニュメントや、リアルなレーサー感覚をバーチャルに体感できるプロ仕様の本格的なレーシングシミュレーターの体験搭乗など、「鈴鹿ならでは」のスポットを20カ所程度提示し、参加者が自由に選択してもらう。
今月21日から、NPO鈴鹿モータースポーツ友の会の協力を得て、市民からの情報募集も始めた。新情報がお薦めスポットとして追加される可能性もあり、後藤グループリーダーは「市が全ての情報を網羅できている訳ではない。市民が持つ情報も吸収して、集まったものをどう見せていくかが課題」と話す。
ツアー終了後、参加者には訪問先の評価や満足度などを回答してもらい、属性の違いによる人気スポットの好みや関心度などを分析する。
後藤グループリーダーは「例えば、同じモータースポーツファンでも、女性グループと国内に住む外国人の興味は違うはず。いろいろな人の生の声を集めることで、どの層に何が刺さるのかが具体的に見えてくる。それを来年度の施策の参考にしていく」と話し、「コロナのピンチをチャンスに変えていきたい」と意気込んだ。