伊勢新聞

2020年12月18日(金)

▼県南部に修学旅行を実施する学校を対象に7月に始めた補助金制度を、県は一年で打ち切る。財源不足だから「別の方法で支援したい」と横田浩一南部地域活性化局長。別の方法の説明はない。「評価の高い制度だ」と委員らが継続を求めたが、打ち切りのままの恐れも大いにあろう

▼新型コロナウイルス対策で、県の厳しい財政が一層ひっ迫しているというが、打ち切りの理由は、国の交付金の見通しがつかないことだという。もともとが一年限定の施策で、継続などは思いもしなかったのかもしれない。新年度の予算請求をしていないのだから、庁内で議論したかどうかも疑わしい。議会から質問がくること自体、想定外だったのではないか

▼修学旅行先を県南部に変更する学校が増えたことを好機に「改めて三重の魅力や価値を感じていただくとともに、コロナで被害を受けた県内観光地の再生につなげることを目的」というのが、教育旅行促進支援事業の趣旨。一年ぽっきりであることをうかがわせる要素はどこにもない。むしろコロナ禍のピンチをチャンスに変えて、長年の懸案である県南部活性化を実現させようという意欲さえ感じさせるが、買いかぶりだったということか。思いつきの施策に過ぎなかったのだとがっかりさせられる

▼国が新たな交付金を計上した場合は活用を検討すると横田局長。地域活性化は国の交付金次第と言っているようでもある。同じコロナ対策でも、あの手この手で継続を図り、新規もあるらしい「みえ得トラベルクーポン」とは大違いだ。ともかくもあなたまかせの年の暮―一茶。