▼県がユニバーサルデザイン(UD)に配慮した県有施設のガイドライン案を公表し、男女共用トイレを県有施設に設置すると説明した。忘れられたが、どっこい生きていた
▼UD条例が平成11年。これまで統一的な基準はなかったという。作るつもりはなかったということでもあろう。「新型コロナウイルス感染症で声かけなどが減っている状況だからこそ、UDのまちづくりが求められている」という。お蔵の奥から引っ張り出す必要が出てきたのかもしれない
▼ガイドライン案公表に伴う具体的施策に県は「トランスジェンダー(性自認)や子連れの利用を想定した男女共用トイレを県有施設に設置する」をあげた。ダイバーシティみえ推進方針や障がい者差別解消条例より、UDからの説明が一番しっくりするということだろう
▼県庁の障害者用トイレが障害福祉課の置かれた4階だけで、その移動に伴い障害者が困ることなど想定もされなかった。現行の「UDのまちづくり」の冊子には「多機能トイレ」のモデルに人工肛門を使うオストメイトが利用できる設備もマークも描かれていない
▼コロナ禍で、ウイルス拡散を防ぐためトイレのフタを閉めて水を流すことが求められているが、県庁のトイレにはフタがない。経済的理由かどうか。身を守ることはできないのだ
▼障害者用駐車場の「思いやり駐車場」の名称もそのままらしい。障害者は思いやられる存在だということか。合理的配慮が行政に義務づけられたことをどう考えているか。マニュアルや事例集を寄せ集めた案づくりの手法も、踏襲されたようだ。