伊勢新聞

2020年12月7日(月)

▼県庁8階クラスター(感染者集団)で、新たに新型コロナウイルス感染者が1人。計10人。「これ以上庁内で感染が広がる可能性はない」と県は太鼓判を押した、という表現はハンコ全廃をうたう県にふさわしくないかもしれないが、同じクラスターが発生した東員病院での新たな感染者2人は当初の検査で陰性で、発熱後の再検査で陽性だった。太鼓判を押して大丈夫か

▼むろんクラスター終息を切に願うが、端緒になった雇用経済部長の東京出張が11月17日で発熱は同27日。それ以前の2日間は休みをとって家族で過ごしたから、それから数えても13日目。潜伏期間2週間と言われる範囲内である

▼同部長の感染が確認されてから、まだ1週間。他の9人の感染判明からはさらに短い。8階の職員だけは全員検査をしたとはいえ、無症状者の検査結果の信頼性は定まっていないという面もある。全職員検査はしていないのだから、今後予想外の感染経路が見つかる可能性もある。2週間という潜伏期間が、感染防止策で軽視されてはいないか

▼昨年、豚コレラ(CSF)の発生した養豚農家が事業再開するまでは4カ月。古くは平成13年のBSE(牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病)騒動の時は、県が安全宣言するまで1年を要した。5日の発表では、県庁クラスターの同居家族の感染が確認されている。こちらは計2人。クラスターとは別集計となるが、今後次第で「庁内で感染が広がる可能性はない」と言ってもいられまい

▼終息を急ぐのは臭い物にフタか。悪夢は早く覚めての思いがあるのかもしれない。