伊勢新聞

2020年12月2日(水)

▼「ブンヤ」は「新聞屋」略で新聞記者の俗称。「文屋」の意味も含み、そう自称するのが面はゆく誇らしくもあったが、「○○屋」の呼称が差別用語となり、ブンヤもあまり聞かれなくなったのは残念

▼野口正県議が自身を「はぐれ猿」に例えて「そういう言い方をすると、問題を起こすのかなと言われる」。「一匹おおかみ」や「はぐれ者」と呼ばれるのも好きだったので、問題の意味が分からぬが昔、建設大臣(当時)経験者に取材し「建設三羽がらす」と言ったら「何っ、カラスっ」と目をむかれた。そういう問題かもしれない

▼県の資料に外来語があることがまた議会で取り上げられた。古くて新しい問題と断りつつ以前書いた話を再掲するのは恐縮だが、田川亮三元知事は「分かりやすくと思うが、国が使用してくるので」。北川正恭同は「国際化の中で県民も外来語を学ぶことが必要」

▼福永和伸戦略企画部長は二つをいいとこどりして「新しいワードや考え方を広めることも大切」とした上で「分かりやすい表現に努める」。広めることも大切なワードとしてSDGsやLGBT、イクボスなどを例示したが、それらとっくに世間に広がっている言葉を問題にしたわけではあるまい

▼「分かりやすい情報提供を意識させるガイドラインやハンドブックも作った」とも。そんな意識や効果が見られない〝新しいワード〟が多いからの質問でもあろう。コロナ禍の県内企業支援策を問われ、廣田恵子副知事が「万全の対策を講じる」

▼万全? 言葉は軽く、師走のこがらしに吹かれ、県庁上空を舞っている気がする。