伊勢新聞

2020年11月30日(月)

▼観光支援事業「GoToトラベル」の一部適用除外について「国が判断するのが筋」とする小池百合子東京都知事の主張に、加藤勝信官房長官は「建設的でない」と不快感を示した。菅義偉首相も官房長官の時に「圧倒的に東京問題」と批判した。国と都知事との間には感情の対立があるのかもしれない

▼もともとは「地域の状況を最も把握しているのは地方」などと、判断するのは誰かについて加藤官房長官が問題を投じたのが発端。反論した形の小池知事に「どちらがどうという議論自体あまり建設的でない」と言い出すのは、相手が小池知事だからという気にさせる

▼地方に反論されたらカチンとくるのが国の体質でもあるまいが、鈴木英敬知事は過去最多感染の連日の更新を受け、不要不急の訪問自粛要請に名古屋市や東京都を加えた。2日前は国が適用停止にした大阪、北海道地域だけだったが、お隣名古屋市の急増ぶりも顕著だった。国の決定が意識のバリアーになっているわけでもなかろうが

▼警察学校などのクラスター発生で「危機感は大変強い」が感染経路不明が多くはなく「キャンペーンに起因して感染が拡大しているというエビデンス(根拠)はない」とも言っていた。科学的根拠が判明した時はすでに遅いというのが四日市公害などの教訓だから少し心配な気はする

▼鈴鹿市の会食クラスターでは2日前の24日に判明した50代女性も参加していたという。その日前後の発表に鈴鹿市も50代女性も見当たらない。疑問を持たせない情報提供が信頼性を高めてデマ、臆測を防ぐのはむろんである。