伊勢新聞

2020年11月19日(木)

▼津地検が三重大病院元准教授のカルテ改ざんで小野薬品工業(大阪)を関係先として家宅捜索したという。同地検自らとはあまり聞かないが、いつぞや名古屋地検が三重漁連を捜索し、その後具体的立件もなく立ち消えになったことがある。警察と違い、理由などは説明しない体質なのかもしれない

▼三重大が津地検に刑事告発したから地検が捜査した。それだけのことだが、初期の段階からの検察の捜査は異例とされる。第三者委員会の答申などがあり、元准教授が違反を認めているせいか。告発先を決める段階で、決まっていたことでもあろう

▼平成7年ごろ、鈴鹿市長の情実採用疑惑で同市民が津地検に直接告発したのは、同市長との関係で県警への不信もあったからだ。検事が市の人事担当を取り調べ、担当は疑惑の事実を認めたが、検事はそんなことを言ったら担当者も罪に問うとか、知人の市長は行政課題解決のため、関係者の子息を採用することもあると言っていたなどの例を示し、表立った捜査を停止してしまった

▼時効寸前に不起訴処分。検察審査会へ申し立てできなくしたと見られた。県で防災センター汚職事件が起きたのは昭和50年代後半。県幹部や県議が有罪になったが、捜査を主導した津地検の検事正がそれから10数年後、先の鈴鹿市長の民事訴訟で代理人として登場した

▼元市長の政治的背景から、防災センター事件の別の一面が見えた気がしたものだ。検察は警察以上に捜査について説明をしようとしない。国民も、それが当たり前かのように思い込まされているのが検察腐敗の一因である。