伊勢新聞

2020年11月17日(火)

▼新型コロナウイルスのモニタリング指標が全項目で措置強化を示しているのに県は「検討」を繰り返すだけ。鈴木英敬知事は「第3波」を否定し、飲酒を伴う会食の注意を呼びかけるが「協力要請や移動の自粛を求めたりするわけではない」。その下で県職員らは忘年会対策を「検討」し「うちの課では開くつもりはない」という部門も(まる見えリポート)

▼感染の初期に窓透明のシートを設置する課が現れた時、統括部門が「県として指示していることではない」と言っていたのを思い出す。ダブルスタンダードという言葉が、今では全ての課が透明シートを垂らしている現状とともに連想させられる。苦笑とともに

▼第2波でも、指標すべてが上回っていながら第2波と認めず、指標自体を変えた。自粛解除以来、経済振興にマイナスになる対策を講じたくない気持ちがにじみ出ている

▼ダブルスタンダードだけではなく二枚舌、二股こう薬、二の足、二の舞、二番煎じなど、「二」がつく熟語や成語に好ましくないものが多いが、二兎を追わねばならぬのが知事の使命でもある

▼鈴木知事の場合、菅義偉首相へのそんたくも加わるか。期待される人間のつらいところだ。3つのバランスをどう取るかで、県民の信頼も変わってくる

▼5日の会見で知事は8月に続き外国人の感染へ警鐘を鳴らした。9月はなかったが、10月後半に再び増えたという。一家族親族の会食でのクラスター(集団感染)が同日発表された。結びつけてくれということか

▼県の発表と知事会見の言葉と―これもダブルスタンダードには違いない。