伊勢新聞

2020年11月10日(火)

▼佐賀県が4日、ANAホールディングスの片野坂真哉社長と面談し、同グループの出向社員受け入れを確認した。石川県も前後して表明。いずれも先月31日、社員受け入れを表明した鈴木英敬知事に背中を押されたのだろう

▼両県は県内に空港を持ち、関係は深い。受け入れ社員を観光施策に活用したり着陸料を半額にするなど、ともに厳しい経営環境を乗り越えるパートナーとしての立場を打ち出しているが、県は「空飛ぶクルマ」への覚書など、新産業への環境整備を目指したバーターの色彩が強い。地方間競争をリードする鈴木知事の意気軒高ぶりが見える気がする

▼「苦しい時に助けられた」として佐賀県が全日空向け応援プロジェクトを始めたのは県の社員受け入れを表明より早い先月28日。山口祥義知事が応援メッセージを伝え、具体的な取り組みを検討するとしながも、県予算を使わずにエールを送る予定だった。その1週間後に社員を受け入れて観光部局に配置し、まちづくりプロジェクトなど発足させるための約1千万円の補正予算案を計上する

▼方針転換に鈴木知事の決断が引き金にならなかったか。カラ出張の原因である国と地方の官官接待について「始めは全員が真っ白なんです」と言ったのは〝平成の鬼平〟の異名があった中坊公平氏だ

▼中に、ほんのりピンクに染まるのが出る。周りがじっと見ている。大丈夫となったら、みんなピンクに変わる。しばらくすると濃いピンクが現れる。同じ手順で、やがて全員真っ赤になるというのだ

▼横並び意識では地方自治体の方がはるかに素早い。