2020年11月6日(金)

▼NPO法人「ファザーリング・ジャパン」の「イクボス充実度アンケート調査」で県が2年連続、都道府県ランキングの1位になった。他県の取り組み状況がいかにお粗末かが分かるとか、アンケートの回答と中身が果たして合致するかなどとはこの際、言うまい。全国をリードする立場であることは確かである

▼「県内にイクボスがあふれるよう、企業との情報交換などを通じて3連覇に向けた取り組みを加速させたい」という鈴木英敬知事のコメントには拍手を送る。大いに加速してもらいたい

▼もう一つの「1位となったことの喜びを皆で分かち合いたい」の方のコメントには賛成しにくいからである。何しろ、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数は日本は153か国中、121位。前回から参加国は4か国増えたが、順位は11位、下げた。政治・行政分野の遅れが大きいとされる

▼トップになっても手放しで喜ぶとわけにはいくまい。低水準の中で、県は育児休暇取得を奨励し、取得しなければ上司から厳しい指摘を受けるなどといわれる。ほかがウオーキングをしている中で一人ジョギングに励んでいるようなものだ。なるべくしてなったと言えなくもない

▼県の女性職員や家族から夫の家庭貢献に感謝の声があがっているという話は聞かない。独りよがりのイクボスという批判は県内でも聞こえてくる。イクボス以前の男女共同参画への道のりもまだ遠い。3年後にあっさり3連覇を達成するというのも、いまひとつ釈然としないが、実績を報告できるようにして、県民の意識向上に役立てたい。