伊勢新聞

2020年11月3日(火)

▼三重県内の24内水面漁協が宅地開発業者などから「協力金」名目で受け取った金額の昨年7月までの5年間分を県が明らかにした。おや、文書が存在しないので分からないのでは―と思ったが、それは工事に立ち会う漁協へ支払う「報償費」の説明だった。いろんな名目で特定の団体が金を受け取る仕組みが続いていて、頭がくらくらしてくる

▼「報償費」はその後、五年分が発表され、続いて平成15年は支払っていたと答弁を修正。さらにさかのぼって調べるという。周囲を見回し、利あらずと見れば少し主張を後退させ、それでも好転しなければさらにもう少し…。じりっ、じりっと下がり、うゆむやの軟着陸点を見極めるのが県の手法。この際「報償費」と横並びで「協力金」も5年分は、ということなのかもしれない

▼民民の話としてきた「協力金」をきちんと記録しているのはさすが県だが、協力金が恐喝で得ていたかどうかは「受け取った後の金の色までは調べられない」と県水産振興課。「警察の仕事」というから、自分らは泥棒にも課税する立場ということか。病人の布団をはいで帰ってくるという立場でもあろう

▼「(協力金の)出口は建設業者だが、本をただせば税金」と鈴木英敬知事。公共工事の発注契約に伴い、県が促す業者の支出だという意味であり、単価に跳ね返っているという疑惑にもつながる。それは「県土整備部の仕事」と県水産振興課は言うに違いない

▼5年間の内水面漁協への協力金総額が約6億円。漁協任せといわれる河川の環境整備への県支出をちょっと聞いてみたい気がする。