伊勢新聞

2020年10月23日(金)

▼昨年始めた県民参加型予算「みんつく予算」は「行政では発想できない斬新で魅力的なアイデアを提案者御本人から発表していただき、職員も大きな刺激を受けた」と鈴木英敬知事。2年目の今年、県民投票とは別に事業化候補への意見を募る「みんつく討議」を新たに実施するという

▼検討課題であったはずの募集テーマを決めるかどうかは特に結果発表もなく、今年は「感染症防止対策と社会経済活動を両立しながら、三重を明るい未来へと導くアイデア」というより絞られたテーマになった。その中で6項目に細分化して募集したせいか、昨年より類似の提案が多くなった気がする

▼320件の提案のうち、募集結果で一番多かったのが「地域経済の再生と進化」の105件、次いで「県民の命を守り抜く感染拡大の防止」65件、「安全・安心な暮らしの再構築」64件と続き、「雇用の維持と新しい働き方」「新たな人材育成への転換」が各32件と半減。「分断と軋轢からの脱却」25件

▼討議対象の事業化候補がホームページに70件ほど掲載されているが、数でもっとも多いのは「安全・安心な暮らしの再構築」で、「地域経済の再生と進化」は3番目。「雇用の維持と新しい働き方」はわずか1件。職員の選別以外にも各項目の違いが分かりにくく、重複が多かったのだろう

▼県民参加型予算に県外や海外からの応募も受ける理由もよく分からないが、職員が刺激を受ける要素は減少し、昨年指摘された「身内感やお手盛り感」は、強まったのではないか。閉塞感を突き抜ける自由な発想が見たい。