伊勢新聞

2020年10月20日(火)

▼「サミットの是非が争われた選挙ではない。サミット後の、サミットを生かしてどう地域づくりをしていくのかが議論された。県としてもしっかりと連携していきたい」

▼伊勢志摩サミットが終わって5カ月後の前回志摩市長選で、同サミットに尽力した現職が敗れた時の鈴木英敬知事の弁。今度は来年同市で開催される太平洋・島サミットを共に誘致してきた現職が敗れた。前回との違いは、サミットがほとんど議論のされなかったことか

▼前回の現職敗北は「(2期)8年間の市政についての市民の判断」とした上て、知事は(これから)サミットのチャンスを生かす取り組みをしていく、と語った。課題は分かっている。人口流出、働く場創出で、1次産業や観光産業中心にサミットを生かすという。それから4年。コロナ禍で疲弊した観光や1次産業振興、少子高齢化などが主な争点の市長選で、現職が大差で敗れた

▼知事も心安らかではないのではないか。観光対策では比較的活動的で、メディアの露出度も高かっただけに、他市町の困窮が透けて見える気もする。もっとも、志摩市は直前に議会解散の提案があり、否決されたとはいえ賛成票は過半数を大きく上回った。現職と前職が落選後交互に市議に転進し市長選に再挑戦する構図が提案の大きな理由の一つだったという。いわゆる〝二頭時代〟への不満が市民の間に少なくなかったのかもしれない

▼合併旧5町の一体感不足も、鈴木知事が4年前に指摘していた。市民の声や行事の状況、政策動向で、そう感じたという。4年後のいま、新市長はどう見るか。