伊勢新聞

2020年9月29日(火)

▼「三重中央」「一志東部」「松阪」の中勢3JAの合併予備契約調印式。鈴木英敬知事らの笑顔を背景に契約書を掲げた各組合長が神妙な表情で記念写真に収まっていたが、ともに合併協議に加わっていたJA津安芸の姿はなかった

▼JA鈴鹿との合併協議が本店所在地にこだわって決裂。中勢4JAの合併へと転進したが、今度は自ら離脱したらしい。新JAは組合員数と農畜産物取り扱い額が県内3位。「重要なパートナーであり大変心強く」という知事の期待通りになるかどうか

▼「三重中央」と「一志東部」は十数年前に合併寸前までいって組合長人事で白紙になった。本店所在地や人事など、合併が成就するかどうかを左右する決め手は泥臭い。北勢4JAが合併した「JAみえきた」も、中央会から合併推進役として派遣された幹部が自身の理事就任を条件に反主流派につき、合併が2年ほど遅れた

▼中央の連合会幹部が単協の組合長ポストを狙って工作するなどのうわさは今も絶えない。新JA発足予定の来年4月に遅れること1年でJA多気郡が合流する段取りとされるが、理由は経営問題とほとんど関係ありそうにない

▼合併はJAの生き残り策として三重中央会が推進してきた。当初県1をめざしたが、県3となり県5へと後退して現在に至る。中勢の新3JA合併で県7。1年後に県6になるとして、その後は見通せない。過疎化、高齢化に加え、担い手不足、価格低迷などで持続可能な農業・農村対策は待ったなしだが、カギを握る合併がいまだにまったく別な論理で進んでいるようなのが情けない。