伊勢新聞

2020年9月19日(土)

▼三重とこわか国体・とこわか大会(全国障害者スポーツ大会)について、鈴木英敬知事は「コロナ禍でも県民力の結集や多様な魅力発信ができるよう開閉会式をはじめ、全般にわたって見直したい」

▼「見直す」は「改めて見る。もう一度見て誤りをただす。ふたたび見てその価値を認める」(広辞苑)。そのいずれかと言えば「誤りをただす」に近いということになるのだろう。感染症の危険など、新型コロナウイルスがなかったら考えもしなかったことだろうから

▼国でもオリンピック・パラリンピックの見直しが進んでいる。規模縮小と選手の入国への特例措置が目下の中心だが、来夏にコロナ禍が治まっていると見る専門家は少ない。開催への懸念はつきまとう。事情は国体も同じなのだろうが、むろん知事はそんな不安はおくびにもださない。感染拡大防止が目的ではなく「県民力の結集や多様な魅力発信」のための見直しのような鼻息だ

▼鈴鹿市の陸上競技練習会で講師として来県した北京五輪銀メダリストの感染は市民に衝撃を与えた。それまでの感染は海外帰国者や大阪でのライブ参加者などで、感染経路が特定されていたが、市も把握していなかった講習会に感染者が来県していたのだ

▼発表時は「埼玉県の会社員」で、五輪銀メダリストや講習会参加が分かったのは富士通が公表した翌日。行動歴も伏され、桑名でメダリストを囲む懇親会があったのが分かったのは、参加者から感染者が出た3日後だ

▼見直しはまず感染防止策、そして感染者が出た場合の措置―危機管理が最優先であることを念のため。