伊勢新聞

2020年9月17日(木)

▼相次ぐ不祥事で、県が処分の厳格化を決めたのは昨年4月。停職どまりだった傷害や痴漢、盗撮などに免職を加えるなどしたが、今度は「パワーハラスメント」の項目を加え、職員を精神疾患にさせた場合は最高で懲戒免職とする

▼いまさらか、待ちに待ったか。庁内にセクハラ・パワハラ相談室は10年前からある。県人事委員会が受け付ける職員の悩み相談の内容にも「職場におけるいじめや嫌がらせ」があり、セクハラと並ぶ。これまでの指針改定にパワハラがなかったとは、相変わらず県のすることはどこか間が抜けている

▼新指針で免職になるのは「強度の心的ストレスの重積による精神疾患」にさせた場合だが、停職も減給もある。「業務上必要かつ相当な範囲を超える言動」でなければパワハラと認定もされない。免職が適用されるのは多くはあるまい

▼県のパワハラは強烈だ。のち総務部次長になった職員は課長時代円形脱毛症で入院に追い込まれたし、折衝ごとで胆力を発揮していた若い職員が、その後の異動先で精神疾患になり、手の震えが止まらなくなり退職した

▼どちらの上司もよく知るが、「業務上必要」外であるはずはなし、「相当な範囲を超える言動」かどうかは被害者でなければ分かるまい。県教委もまた改定し、児童や生徒へのわいせつ行為について「免職または停職」から「免職」だけにした

▼文科省の通知でこちらもようやく改めるらしい。意に反することを認識して繰り返しても「停職または減給」で、精神疾患にさせねば「免職または停職」が適用されないセクハラの方はどうなるか。