伊勢新聞

2020年9月15日(火)

▼新型コロナウイルス感染者の発生が初めて分かった2日、鈴鹿厚生病院は3日付でホームページで対応策をあげた―「濃厚接触の可能性のある職員に対する自宅待機の指示、その健康状態の経過確認」

▼12日に新たに感染が確認された40代男性看護師は、クラスター(感染者集団)の判明(4日)を受けて自宅待機となったが、応援のために再び出勤し「感染した可能性が高い」(県)。対応策は厳格に守られていたか

▼当初の検査は陰性だったが、9日に発熱し、10日の再検査で陽性と判明した。このパターンが同病院では少なくない。発症前は検査に引っかかりにくく、その時期に感染力が強いなど、未解明な部分の多いウイルスだが、クルーズ船の感染爆発は密閉空間内での人の往来、飛沫感染が拡大させた。感染者の転院が難しく、病院内で治療せざるを得ない状況が発生から2週間、沈静化が見られないこととの関係があるのかどうか

▼同病院で10日、2人目の死者が出た。先の50代男性も3日の検査は陰性だったのに6日発熱し翌日死亡した。2人目の70代女性は、3日の検査で陽性だったが無症状。その後容体が悪化し、転院先で死亡した。謎の多いウイルスの恐怖をまざまざと見せつけるが、無症状から悪化までのいつの段階での転院だったか

▼「鈴鹿厚生病院も感染者に医療を提供できる体制にあるが」と県医療保健部次長。「より設備やスタッフの整った所にできるだけ早く転院してもらえるようにしたい」。現状はやむを得ない状態ということか。医療崩壊がすでに始まっているようでもある。