伊勢新聞

2020年9月10日(木)

▼新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が認定された鈴鹿厚生病院で、新たに7人が発症し48人に。うち50代の患者が死亡した。「基礎疾患はなかった」の記事が目をくぎ付けにさせる

▼増殖したウイルスが免疫細胞を狂わせ、体内攻撃へと暴走させる。基礎疾患の部位が重症化するという筋書きだが、重症化は部位に限らぬことを実証した

▼男性は3日の検査が陰性で、6日夜発熱し、翌7日に死亡。陽性が分かったのは死後という。その急変も第一波を思わせ、現在軽症か重症か、さらには陰性かさえ、意味をなさないことも思い知らされた

▼「感染者の多くは軽症だが、重症化して死に至ることもある」という鈴木英敬知事の説明は、何の意味もないということでもある。永寿総合病院(東京都)に次いで深刻な院内感染となった中野江古田病院(同)は看護体制が崩壊していた。永寿総合病院も、医者と看護師のコミュニケーション不足が疑われてる

▼県立の心の医療センターで、医者への患者の不満を看護代表者に伝えたことがある。「先生にそんなことは言えない。患者が病院を替えてくれ」という回答だった。鈴鹿厚生病院はどうか

▼准看護師2人の感染を発表した3日、濃厚接触者である職員は自宅待機を指示したが、患者については「調査」だけ。その後の30人発症でも「観察」にとどまる

▼陽性患者の隔離が第1波の教訓だが、2日前後の院内コミュニケーションはどうだったか。9日も「適宜PCR検査」結果として2人の感染を発表。「適宜」検査とは何かも聞きたいところである。