伊勢新聞

2020年9月5日(土)

▼県教委の木平芳定教育長が新型コロナウイルス感染症に関する誹謗中傷について「ネットパトロール」の結果を発表した。書き込みが44件で、特定の学校を「怖い」「危ない」とする投稿が多く「いじめにつながったり、個人が特定される投稿はなかった」。リスクは四段階のうち最も低いという

▼鈴木英敬知事が国のWGや全国知事会で差別、偏見を訴え続けていることとの温度差は明白。「SNS(会員制交流サイト)で相当なデマが拡散されている」として「子どもたちや医療関係者らに陽性があった」などの情報は「全てデマ」と語ったことなど夢のよう

▼「ネットパトロール」という事業名称が古式ゆかしい。学校闇サイトが社会問題になったころ、先進県の奈良県と提携して伊賀市の教員有志が始めたが、数年前に休止している。学校名で検索していく方式がSNS時代になって対応できなくなったからだ

▼県教委が三年前またぞろ外部業者に委託した理由は不明だが、昨年度の結果は小学校七件、高校二件の計九件ですべてレベルは最低。分析のしようもなかった

▼そんなネットパトロールが今回44件も発掘されたのはそれはそれで大いに検証の意味はある。SNSはどうなっているか、およそ推測もつこうというものでもあるが、県教委は内容をそのまま学校に提供したらしい

▼コロナ禍で児童虐待リスクが高まっている中で、県は「大きな増加は見られない」と総合教育会議で報告し、委員から「増えていないことが問題」と指摘された。データの見方、発見の仕方に問題があるということだった。