▼政府の偏見・差別等WGで、鈴木英敬知事は新型コロナウイルスの特措法に「差別」「偏見」の文言がないと指摘した。特措法制定時、誰もそんな問題が起きることを想定しなかったということだろう
▼その伝でいうと、県障害者差別防止条例は「障害の暴露」についての文言がない、ということになろうか。成立を目指している県性的少数者(LGBT等)条例は性的指向の暴露禁止が目玉だが、障害者差別では誰もそんなことは気にもしなかったということである
▼鈴鹿市が新型コロナウイルス感染症対策として発行したプレミアム商品券のうち、障害者や1人親世帯対象に増額して設定した商品券「鈴鹿まるごと応援券すずまる」が「使用期限や1枚の金額が違うと使用したときに周囲に事情が公になるのが不安」という声が上がった。昔、宮崎吉博・元伊勢市教育長が特別支援学級を担当していたころ体験したエピソードを思い出す
▼一般学級へ転級した生徒がいたそうだ。気に掛けていたら、ある時いじめられている現場を目撃し、思わず介入したら激怒されたという。「関係ないじゃないか。おれはもう、あんたの生徒じゃない」。卒業生に毎年出していた年賀状を断られた話もあった。「私はもう大丈夫です。今後はよこさないでください」
▼特別支援学級の教師と生徒の思いの違いである。鈴鹿市が障害者などに特別な商品券を発行した理由は分からないが、より厳しい現実を支えようという〝善意〟だったのかもしれない
▼対象者の「不安の声」は、世間から普段どう見られているかの実感を反映している。