伊勢新聞

2020年8月26日(木)

▼国の「偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ」への鈴木英敬知事の参加を喜びたい。新型コロナウイルス感染症対策分科会の下部組織で、感染者や家族に対する差別の実態を聞き取り、相談対応や啓発などを議論する

▼県のホームページはじめ、知事のプロフィルには政府の審議会委員など役職が過去の分を含めずらりと並ぶ。「あんなものが自慢なのか」の声もあるが、その分野の知識が増え、理解が深まることはあろう。はしかのまん延から新型コロナの偽情報発信まで、ちぐはぐさも目立つ言動だが、WG参画で整理されるのは望ましい

▼1期目の知事会見や議会答弁で差別や人権が取り上げられることはほとんどなかった。障害者を働き手とする「ステップアップカフェCotti菜」を発足させる平成26年、労働者不足を障害者で補う発想は「基本的にない」として、自立支援や保護者の将来不安の解消がねらいだと強調していた

▼3周年には、設立は障害者の実雇用率全国最下位脱出策の一環だったとし、農福連携全国都道府県ネットワーク会長就任後は、障害者を労働力とみなすことを自明のこととして語る。事業、役職を通じ進化しているのだ

▼先には「外国人」を特定して感染割合が増えているとし、対策の必要を説いた。県外ナンバーの流入調査から県外ナンバーへの暴言やあおり運転、嫌がらせが全国へ波及したことを思わずにいられない

▼知事は国の求めに応じ朝鮮学校の補助金停止に踏み切った全国でも数少ない知事の一人。国も安心してメンバーに選んだのかもしれない。