伊勢新聞

2020年8月26日(水)

▼中部国際空港の立地候補が愛知県が主張する常滑沖か、県などの推す木曽三川河口部かでつばぜり合いをしていたころ、県議会幹部らに愛知県知事から根回しの電話が入り、当時の田川亮三知事が「少し黙っとれ」と気色ばんだことがあった。他県の内情に介入するのは大きなお世話に違いない

▼愛知県が緊急事態宣言を予定通り24日で解除することにとやかく言うつもりはない。「緊急事態宣言や休業要請はのべつ幕なしにやるものではなく」という解除の説明も「厳重警戒」の方を継続して言うべきことかと苦笑するだけだ

▼ただ県外との移動自粛を呼びかけながら「岐阜、三重両県を除く」とはどういうことか。「名古屋繁華街は避けて」と鈴木英敬知事が四日市、桑名両市と共同メッセージを発したのは2日。県内感染者の70・2%が名古屋市由来とする分析結果を明らかにしてのことだ

▼このところ「県外由来の減少」を口にしてはいた。移動自粛の対象から県を除外する大村秀章愛知県知事と呼応してのことか。鈴木知事へは根回し済みということかもしれない

▼愛知県が緊急事態宣言を発令した翌週、名古屋市の企業は予定通り県外学生を含めインターシップを実施。志摩市の学生への通知には「一日限定20名。絶対参加してください」のただし書き。家族協議の末、断ることにしたのは前に書いたが、宣言は張り子の虎みたいなものだったか

▼県は16日までの「緊急警戒宣言」を月末まで延長したが、解除とともに県外繁華街との往来を黙認、あるいは事実上奨励する話にでもなっているのだろうか。