伊勢新聞

大観小観 2020年8月20日(木)

▼メニューは立派な表装だが、料理にこくがない―いじめ関係で県教委が設置する各機構をそう総括しては言い過ぎか。第三者機関を印象づけても県教委寄りが色濃いせいかもしれない

▼県教委のいじめ対策審議会の調査報告書が加害者生徒らへ聞き取りをしていなかったという遺族の不服で、県が平成27年設置以来、一度も開いていない「県いじめ調査委員会」の出番という

▼県のいじめ審議機関は多い。第三者機関らしき組織だけでも、法や条例が設置者を「学校の設置者又はその設置する学校」としているため、女子高校生が不登校になり「重大事態」と認定された一昨年5月の事例では当の学校が設置した。8割の委員が学校関係者

▼3月報告したいじめ対策審議会は全員外部委員だが、調査対象は事務局に委ねたか。加害者らを調査から外していると批判される重大な隙を残した。県教委にはほかにいじめ問題対策連絡協議会があり、屋上屋の批判もある。事務局の役割が強くならざるを得まい

▼県のいじめ調査委員会は子ども・福祉部所管。委員の就任承諾を個別に得ただけだから委員長ら役員も未定。出番が回ってくるなど思いもしていなかったろう。21日の初会合に向け、どたばたしたのではないか

▼初会合を前に委員名簿がホームページから消え、一部委員を女性に入れ替えた。化粧し直しているつもりかもしれない。事務局が委員を訪ねるなど異例な行動も。こちらは物置に放りっぱなしの機具に油を注いで点検しているつもりか。誤解を招きかねない行動はいじめ対策審の二の舞になりかねない。