伊勢新聞

2020年8月11日(火)

▼津市中心部の代表的なホテルの一つ「都シティ津」の9月からの全館休業が発表される2週間ほど前、前葉泰幸津市長がホテルを経営する「津センター」の社長を前葉泰幸市長が辞任していた。王の早逃げ八手の得、ということか

▼会見でも「市はあのホテルを不動産として持つ津センターパレスの筆頭株主。あの財産をなんとか活用しなければならない」。ホテルとしての活用は考えていないと言っているかのようだ

▼昭和60年のオープン前後から、津センターパレスは好ましくない話題をまき散らしてきた。キーテナントを巡ってジャスコ(現・イオン)とダイエーが争奪戦を展開したが、ダイエーに軍配があがったのは、当時の市長の好みが影響したなどと言われた

▼当初から経理の不明朗さが指摘され、責任者だった県職員OBの専務が失踪。東京のホテルで自殺体として発見されたのも衝撃だった。平成7年にダイエーが撤退。本体の経営悪化もあるが、地元専門店との取り決めで得意の衣料品を扱えなかったことも見切りをつけた一因と言われた

▼周辺の地元商店街の低迷が加速。丸の内のジャスコも郊外店へ。津センターパレス設立が商業地域としては急速に地域をさびれさせた。都ホテルも平成15年、撤退を表明。当時の市長の強いこだわりで、地元企業らと共同で津センターを設立し、運営を近鉄ホテル部門に委託して存続を図った

▼破格の家賃がテナントの不満を招いて相次ぎ撤退。市の関係部門を大量入居させ、高額の家賃を払うことで支えている。前葉市長はその路線の先を見ているのであろう。