伊勢新聞

2020年7月22日(水)

▼故事・ことわざは遠い過去から語り伝えられてきた人生の教訓や真実、戒め、機微などを含んだ言葉。一言で全体を言い表して便利だが、県を評してこの欄でもっとも使ったといえば「のど元過ぎれば熱さを忘れる」と「アツモノに懲りてナマスを吹く」か

▼新型コロナウイルスに感染した発表した60代の男性会社員について、県は濃厚接触者の特定を進めている勤務先の県名を明らかにしない。「所在する自治体の了解を得られていない」からだそうだが、「アツモノに懲りて―」の言葉が浮かんだのは、巨額のカラ出張後の虚礼廃止で、散々税金で飲み食いしていたのが一転して弁当持参になったことなどとは違い、ちょっとした思いつき

▼いなべ市で捕獲した熊を自治体に何の連絡もせずに滋賀県で放獣。近くで女性が襲われる騒ぎもあり、熊違いではあったが、謝罪に追われたことが思い出されたのである。熊を放すのに当該自治体の了解など取ろうともしなかった県が、変われば変わるもの。いや、県民の安全・安心のための情報を出すか出さぬかの判断を自治体の了解うんぬんに依存する。「自分の都合を考えて」という意味で、変わらないなあと思ったりもする

▼関東圏に沈静の気配はなく、東海圏も「(軽症や無症状で)第一波とは違う」(大村秀章愛知県知事)、「憂慮される状況」(河村たかし名古屋市長)。分析に違いはあれ、自治体の了解がどうのと言っていられる状態ではない

▼きょう22日から「GO TOトラベル」。県ものど元は過ぎていないはずだが、鈴木英敬知事のコメントはない。