伊勢新聞

2020年7月19日(日)

▼鈴木英敬知事が国の旅行需要喚起策「GoToトラベル」の東京都除外について「妥当な判断」。大方の県民の気持ちだろう。人は自分の思いを代弁した人物に共感を持つ。知事の人気の高さが分かる気がする

▼国は前日までの全国一律実施へのこだわりを一変させて、知事もまた「県としては時期をずらして9月からスタートしてもらえたら良かった」(17日・志摩市長との一対一対談で)などの〝本音〟はおくびにも出さず、6月には割り引き上乗せを決め、10日前の7日にはプレミアム旅行券発行を発表した

▼感染拡大時から収束までを3段階に分けた対策方針「みえモデル」の発表が5月29日。感染防止と経済の両立を目指すのがうたい文句だが、プレミアム旅行券はじめ観光振興策の発表に感染防止策は触れなかった。ブレーキとアクセルを同時に踏む難しさか。両立か別々の施策かが分かりにくかった

▼鈴木県政2期目の発足で、知事は見習い期間終了の認識を示した。3期目の現在、大知事への一歩を踏み出した感覚か。公式の場での発言は慎重さを増し、静岡、熊本県知事らの発言に苦言も呈している。東日本大震災被災地のがれき受け入れに意欲を示し、結局断念した軽さなどないのだろう

▼除外は東京だけで急増する関東圏はそのままでいいか、被災県の扱いは―。9月スタート予定の確信の根拠や再び気の緩みの節目にならないか。思いはいろいろあろうが、それらは国の動き次第。今口にする時期ではないと心得ているのかもしれない

▼県民にとってこれまで以上に分かりにくい知事になった。