2020年7月15日(水)

▼県退職職員の再就職先が公表され、情報提供先を民間企業まで拡大した平成29年度以降で最多の37団体、44人だった。うち民間企業や団体へは22団体22人。県出資外郭団体は12団体19人

▼29年度以前は14―16人だったから、こちは微増だが、民間の企業や団体が含むようになった30年度は8企業・団体だったから、激増と言える。福祉・医療法人が多いのは、制度の複雑さや手続きの煩雑さからか。建設・設計関係が2社から16社に増えたのは、そろそろ天下り批判も下火になったからということか

▼土木部門の退職者が、再就職狙いで現職当時から便宜を図ったり、事業の〝お土産〟持参で再就職する時代ではないだろう。〝名刺配り〟で後輩から情報を収集することのメリットも今の企業側は感じてはいまい。具体的見返りがなければ受け入れることはあるまいという昨今の厳しさを考えると、なるほどと思わせるケースが少ないのは気になる

▼県出資外郭団体への再就職は、県人事と連動していることもあり必要悪の側面があるが、技術系団体の幹部が所管する県の部門トップの指定席になっているのは見直すべきではないか。発注でも、指名競争入札や随意契約が多いことで知られるが、前部長が理事長や専務理事として実権を握る組織へ後輩らが切り込むのは勇気だけではできまい

▼かつて北川改革で、庁内は事務系と技術系の交流人事が促進された。効果は消えつつあるが、県の技術系部門と外郭団体は、一度もそんな洗礼を受けていない。伏魔殿といわれるゆえんである。