2020年7月6日(月)

▼汚濁水が河川に流入するとして開発業者に寄付名目の現金を要求し恐喝未遂容疑などで桑員河川漁協組合長が逮捕された事件で「共犯関係」と言われた行政機関のうち、県は、同組合長の関係する建設業者を指名停止処分にし、いち早く〝仲間割れ〟の様相を見せた

▼対して、桑名市の伊藤徳宇市長は同漁協へ支払っていた公金570万円について「適正な支出」だったと主張した。〝仲間同士の絆〟を大切にした格好だ

▼「強制的に支出させられていたわけではない」とはいうが、何らかの要請、要求があって予算を付けるのが予算編成の仕組み。寄付名目なら恐喝で、補償金や環境保全名目なら適正支出となる。落札業者に支払わざるを得ないよう指導してきた県行政の扱いも含め、捜査当局も立件に知恵を振り絞ることになるのではないか

▼伊藤市長は掘削工事で公金を支払ってきた理由について「川の形状」の変化をあげる。昨年度からの「員弁川環境保全活動協力金」名目の正当性を示唆したのだろう。それ以前の2年間は「漁協補償金」から「水源保全事業活動協力金」へ。「補償金」とはむろん漁業補償の意味だろう。補償するだけの漁業の実態への疑問が「水源保全」「環境保全」へと名目を変えたのではないか

▼むろん「強制的支出」ではあり得ない。県警は市と漁協が長年にわたって不適切な関係にあったとみているという。いかに支出するかの問題ではなかったかが問われているのだ。〝仲間割れ〟と〝仲間同士の絆〟のどちらをここ一番で行政が選択するかも、事件の経過をおもしろくしてくれる。